2024年10月15日付意見書からの抜粋:
「2000年9月から2017年3月まで関西医科大学整形外科主任教授として附属病院において,輸血を拒否する患者に対して無輸血手術を提供してきました。そのほぼ全例はエホバの証人です。これまで輸血をしなかったことが原因で亡くなられた方は幸いおられません。
私が執刀した手術は,人工股関節置換術で,両側同日手術や人工股関節再置換術も含みます。
幸い人工股関節置換術は待機的手術であり,いわゆる手遅れがありません。整形外科医の技量があれば如何なる状況であっても機能改善を得られる手術を行うことができます。また,この20年間に人工股関節手術自体に対する技術革新・改良が進み,極度な低血圧麻酔を使用しなくとも術中出血量も減少し,特に我々が行なっているセメント固定人工股関節では骨髄からの後出血が最低限に抑えられます。また人工関節手術は感染予防のためクリーンルームや呼気排気装置の併用など厳格な清潔手術を要するため,例え輸血拒否患者でなくとも,回収式自己血輸血を併用すればごく特殊な症例を除きほぼ全例で同種血輸血は行う必要性がありません。私が指導した後任の若手整形外科医の多くが同じ感覚を持って手術に臨んでいます。
近年同種血輸血には,①妊娠や以前の輸血に起因する抗体による発熱や蕁麻疹,②輸血後移植片対宿主病(輸血後post-transfusion graft-versus-host disease : GVHD)③肝炎や後天性免疫不全症候群(AIDS)といった感染症,のリスクを伴うことが明らかになっています」。(原文は日本語)