紙谷尚之医師

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2024年2月1日付意見書からの抜粋:

「自分が医者になった 50 年ほど前は,帝王切開の時には常に輸血を用意して臨んだり,フィブリノゲン製剤も多用する時代だった。自分は,血液製剤が安易に使われていること に危機感を覚えていて,できるだけ輸血しないで治療できればよいと思っていた。その後,輸血後の肝炎やエイズが大きな問題となり,その思いが強くなった。そこで,妊婦や授乳婦に対するより良い管理を模索するようになり,できるだけ輸血を避けるようにしてきた。

……輸血に関して制限のある患者の場合,麻酔科医との間で,どこまで出血したら手術を中止するなどよく話し合って臨んだ。また,出血量を大幅に抑える高度な手術手技や,その他の術前貧血対策(PBM)原則も用いてきた。このような取り組みの結果, 20 年以上にわたる診療の中で,手術中に患者さんが亡くなったことはない。悪性腫瘍に関しては 2 例ほど,輸血に関して制限があるために不十分な切除で終えた症例があるが,だから亡くなったということはない。

新生児に関しては,輸血が必要な状況に直面することは滅多にない。かつては,新生児黄疸を起こした未熟児に交換輸血を行なうのが常だった。しかし,ここ数十年の医療の進歩により,輸血をせずに黄疸を治療できるようになった。過去 20 年間の経験では,交換輸血を必要とした症例はない。

まとめると,自分がエホバの証人に治療を提供した経験は,非常に肯定的なものである。エホバの証人の親たちは愛情深く思いやりがあり,子どもたちに最善の医療を施したいと願っている。20 年間診療してきたが,証人の母親たちやその子どもたちに必要な医療を提供するのに苦労したことは一度もない」。(原文は日本語)