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マリー゠ジャンヌ・ブーデ医師

ヨーロッパ | フランス

2023年1月30日付意見書からの抜粋:

「[ エホバの証人の ] 患者……は自分の病状や治療の選択肢についてよく理解しています。……

輸血を受け入れないというエホバの証人の意思は,宗派的な逸脱ではなく,宗教そのものだと思います。エホバの証人は(他の宗教と同様に)特有の儀式や規則を持っています。……エホバの証人の患者は大抵,分別があり,話し合いに前向きです。例えば,生命の危険があり,輸血が問題となる極端なケースでも,当人の意思を尊重しつつ,妥当な治療法を見つけることができます」。

「エホバの証人を治療した経験は,他の患者の治療にも役立っています。もちろん,赤血球を温存するには,出血を極力抑えなければならないので,術前,術中,術後管理,麻酔,切開術など(HAS の勧告)を工夫し,十分慎重に行う必要があります。場合によっては,赤血球を温存することで,敗血症やがんの再発などのリスクを抑えることができます。また,若い多発外傷患者や移植患者の命も救うこともできます。

私たちは医療機関連絡委員会(HLC)と友好的で協力的な関係を築いています。HLCのメンバーはとても穏やかで親切です。他の宗教団体,また宗教にかかわらず他の患者にはなかなか見られない特徴です。

……,緊急時には,HLC から提供される医学知識は,医師の診断と治療を円滑に進める助けとなっています。そのような意見交換によって,出血を抑える処置を迅速に行うこともできます。その際,医師や患者が,制約や圧力を受けることはありません」。

「……とはいえ,HLC のメンバーが穏やかにサポートしてくれるおかげで,私たちは治療をより冷静に,また無駄を省いてシンプルに行えるようになっています。加えて,出血を極力抑えるという使命が,外科医の手術手技を向上,洗練させてきたことは確かです」。 (原文はフランス語)