2023年12月28日付意見書からの抜粋:
「……私は小児がん診療に携わるようになってから40 年になりますが,その間,がん 治療を受ける子どもたちの輸血の問題に直面することが多々ありました」。
「不思議なことですが,一方には信仰を尊重するという一大事があり,他方には医療を施すという使命がある,この二つが対立するデリケートな状況を振り返ってみるときに,なぜか良い思い出しかありません。その主な理由は,エホバの証人の言動やふるまい,とりわけ,その信念を非常に穏やかに,優しく説明する姿勢が,他の人とは違うからでしょう。……解決不能に思える問題へのこのようなアプローチの仕方には,私自身,小児科医として,また父親として,いつも感銘を受けています。信念の違いや多少の誤解があったとしても,解決策を見つけることはできる,ということも学ばせてもらいました。この優しさは,医師の側から思いやり深く聞く姿勢を引き出し,ひいては両親と病気の子どもからの信頼感を生み出します。これは私が他のどんな状況においても経験したことがないレベルのものです。輸血拒否のデメリットについて冷静に話し合い,子どもの予後,症状の重さ,治療計画に基づいて共通の土台を見い出すための真摯な対話を可能にするのは,この優しさなのです」。
「……これもエホバの証人の家庭の特徴ですが,子どもたちは両親と同様,現代社会で は珍しくなりつつある礼儀正しさを身に着けています。私はこのような子どもたちを 18 歳 になるまで診察することができ,思春期という反抗期においてもこの教育の成果が持続 することを確認する機会にも恵まれました」。(原文はフランス語)